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トラウマ・センシティブ・ヨガ

ボストンのトラウマセンターが開催している
トラウマ・センシティブ・ヨガの講習をこの度修了し
ファシリテーターとして認定を受けました。

昨年9月にボストンで始まった研修は
毎週やってくる課題図書や論文を読んで作成するレポート
トラウマ・センシティブ・ヨガを指導している動画の提出
スタディパートナーとのミーティング、オンラインでの講義
メンターのDavid Emerson先生とのOne on Oneなど合計300時間。
思っていた以上にアカデミックで充実した内容でした。

私も勉強する中で学んでいったのですが
トラウマと一言でもいっても、いろいろな種類があります。

一般に認識されている災害や事故などの一過性のPTSDに加え
トラウマ・センシティブ・ヨガが主に対象にしており有効性が認められているのは
主に長期に及ぶ反復的な対人関係(パワー・ダイナミックス)により生じたものです。

例として、本来であれば愛着的な関係(アタッチメント)を築いていくはずの幼少期に
家族から暴力や遺棄を受けたり、無視されたり、操作されたり、DVを目撃する場合
やわらかな子供は自分の方に問題を引き受けてしまいます。

止められない不安感、鬱、パニック、解離、嗜癖、自傷行為、摂食障害、
などの、大人になってからもつきまとう一見バラバラに見える症状の根っこに
複雑性トラウマが原因として隠れていることがあるそうです。

社会や精神医学の歴史の中でのトラウマの携える意味と意義
自分の中に埋もれている偏見や差別がたくさんあること
トラウマや回復について、明らかになっている最新の脳科学の知見
そして実際に生きづらさを感じている人へヨガでできるアプローチを学ぶ中で
これまで自分が学んできたことの多くが有効であること
新しく教えてもらったことがたくさんありました。

講座の参加者は世界中に住んでいる、心理職、ソーシャルワーカー、
セラピスト、精神科医など対人援助をしている専門家も多く、
ヨガがソマティックな補完療法として現場で利用されているのだなぁ
ということが感じられました。

トラウマの補完療法としては、どんなヨガでも有効かというわけでもなく
種類ややり方によっては、ヨガが新たなトラウマの温床になりうることも
この数年続々と明らかになってきています。

すばらしい先生、カリスマと呼ばれる専門家も、みんな同じ人間です。
他の人に依存や、崇拝すること、誰かのせいにすることは
一時的に起きやすいことではあるけれど

自分の人生のハンドルを握り続けるのは、自分以外の誰でもないことを大切に
いただいた学びを、これからの自分や指導にも生かしていきたいと思っています。

このテーマに興味がある人への参考書籍など、載せておきますね。

トラウマをヨーガで克服する」ディビッド・エマーソン
Trauma-Sensitive Yoga in Therapy:Bringing the Body into Treatment」David Emerson, Jennifer West
トラウマ(岩波新書)」宮地尚子
身体はトラウマを記録するー脳・心・体のつながりと回復のための手法」ベッセル・ヴァン・デア・コーク
心的外傷とトラウマ」ジュディス・ハーマン
小児期トラウマがもたらす病 ACEの実態と対策」ドナ・ジャクソン・ナカガワ
Trauma Stewardship:An Everyday Guide to Caring for Self while Caring for others」Laura Lipsky
Yoga as a Complementary Treatment for Chronic PTSD

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